空き家は何日空いたら「空き家」になるのか。
1年という基準
1年と
空家法の条文に、何日空いたら空き家になるという日数の定めはありません。空家法第2条第1項が定めているのは「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」という状態です。この「常態」の目安として、総務省行政評価局の「空き家対策に関する実態調査 結果報告書」(平成31年1月)は、使用されていない(人の出入りのない)おおむねの期間を空家法の「空家等」で1年、住宅・土地統計調査の「空き家」で3か月と整理しています。また、1年が過ぎたことだけで指導や勧告の対象になるわけではなく、管理不全空家等と特定空家等は、空家等のうち家の状態で決まります。条文の定義、1年と3か月の違い、1年で変わることと変わらないことを整理しました。
空家法の「空家等」の定義
空家法第2条第1項
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条第1項
条文の要素は、使用がなされていないことと、それが常態であることの二つです。 居住だけでなく「その他の使用」も含まれるため、人が住んでいない家でも、ほかの用途で使われていれば、この定義の外になる場合があると考えられます。 条文に日数や月数の定めはありません。
たとえば、片付けや風通しのために時々訪れる家が「使用」にあたるかどうかも、条文には定めがありません。 空家法第9条第1項は、市町村長が空家等の所在と所有者等を把握するための調査を行えることを定めています。 個別の家の扱いは、その家がある市区町村の空き家の担当窓口で確かめられます。
1年と3か月の二つの基準
| 区分 | 空家法の「空家等・特定空家等」 | 住宅・土地統計調査の「空き家」 | 住宅・土地統計調査の「その他の住宅」 |
|---|---|---|---|
| 使用されていない(人の出入りのない)おおむねの期間 | 1年 | 3か月 | 3か月 |
| 別荘や賃貸用・売却用の家屋、部屋 | ○ | ○ | × |
| 倉庫や物置など住宅ではない家屋 | ○ | × | × |
| どの住戸も使用されていないマンションや長屋などの共同住宅 | ○ | ○ | ○ |
| 一室以上が使用されているマンションや長屋などの共同住宅の空き室部分 | × | ○ | ○ |
| 壁が倒壊している、窓が割れている等で到底人が住むのに適さない家屋 | ○ | × | × |
| 住むことが可能で、景観を著しく損なっている家屋 | ○ | ○ | ○ |
出典:総務省行政評価局「空き家対策に関する実態調査 結果報告書」(平成31年1月)コラム1<空き家の定義>。○は各用語の定義に含まれる場合、×は含まれない場合
空家法の1年
総務省行政評価局の結果報告書は、空家法の「空家等・特定空家等」について、使用されていないおおむねの期間を1年と整理しています。 「おおむね」という表現のとおり、1年は目安の期間で、条文に書かれた日数ではありません。 1年に満たない家が空家等にあたらないとは言い切れないと考えられます。 表の「人の出入りのない」も目安の書き方で、時々の出入りがあることだけで空家等の定義の外になると読むことはできないと考えられます。 この報告書は平成31年1月の資料ですが、「使用がなされていないことが常態である」という空家法第2条第1項の文言は、令和5年の改正の前後で同じです。
統計の3か月
同じ表で、住宅・土地統計調査の「空き家」と「その他の住宅」は、おおむねの期間が3か月です。 統計の「空き家」は別荘や賃貸用・売却用も含み、「その他の住宅」はこれらを含みません。 ニュースなどで目にする空き家の戸数は統計の定義による数字である場合があり、空家法の「空家等」とは範囲が異なります。 共同住宅の扱いにも違いがあり、一室以上が使用されている建物の空き室は、統計の定義には含まれますが、空家法の定義には含まれません。
期間と家の状態の関係
空家等にあたる場合の努力義務
空家法第5条
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
「空家等」にあたる家の所有者又は管理者には、空家法第5条の努力義務がかかります。 定義の目安である1年に満たない家でも、人が使わなくなった時点から傷みは進むと考えられます。 使われなくなった家で1年の間に起きる変化は空き家を1年放置すると、家の中で何が起きるかにまとめています。
指導・勧告と固定資産税を決める条件
| 区分 | 決める条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 空家等 | 使用がなされていないことが常態であること | 空家法第2条第1項 |
| 管理不全空家等 | 適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態 | 空家法第13条第1項 |
| 特定空家等 | 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態など | 空家法第2条第2項 |
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条・第13条
管理不全空家等と特定空家等の定めは、いずれも空家等にあたることを前提に、そのうえで期間の長さではなく家の状態を条件にしています。 市町村長は、管理不全空家等について空家法第13条で指導と勧告を、特定空家等について空家法第22条で助言又は指導、勧告を行うことができます。 「当たる状態」の整理は「特定空家等」とは何か。当たる4つの状態と、そのあとに起きることにまとめています。
地方税法第349条の3の2第1項は、空家法第13条第2項又は第22条第2項の勧告がされた家の敷地を、固定資産税の住宅用地の特例の対象から除いています。 勧告は除外の条件の一つで、空いた期間が1年を超えたことは条件になっていません。 ただし、同じ条文は特例の対象を人の居住の用に供する家屋の敷地としているため、勧告がなくても、家屋がこれにあたらないと判定されれば、特例は適用されないと考えられます。 判定は課税する市区町村(東京23区は東京都)で確かめられます。 勧告の前後の流れは管理不全空家の指導が来た。どう対応すればよいかにまとめています。
居住世帯のない期間の実態
| 居住世帯のない期間 | 割合 |
|---|---|
| 1年未満 | 7.9% |
| 1年以上3年未満 | 13.1% |
| 3年以上5年未満 | 11.4% |
| 5年以上7年未満 | 8.8% |
| 7年以上9年未満 | 7.3% |
| 9年以上11年未満 | 7.0% |
| 11年以上14年未満 | 10.3% |
| 14年以上17年未満 | 6.2% |
| 17年以上20年未満 | 5.5% |
| 20年以上 | 22.5% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-48
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」によると、居住世帯のない期間は20年以上が22.5%で最も多く、1年未満は7.9%でした(図表4-48)。 5年未満を合わせると約3割です。 この調査の居住世帯のない期間と、空家法の「常態」の判断は別のものです。それでも、調査の対象になった空き家の多くで、居住世帯のない期間が1年を超えていることが分かります。
調査結果のまとめ
- 空家法第2条第1項の定めは「居住その他の使用がなされていないことが常態である」という状態で、日数の定めはありません
- 総務省行政評価局の結果報告書(平成31年1月)は、使用されていないおおむねの期間を空家法で1年、住宅・土地統計調査で3か月と整理しています
- 統計の「空き家」と空家法の「空家等」は、期間だけでなく、対象になる建物の範囲も異なります
- 管理不全空家等と特定空家等の定めは、空家等にあたることを前提に、期間の長さではなく家の状態を条件にしています
- 住宅用地の特例の対象は人の居住の用に供する家屋の敷地で、空家法の勧告がされた家の敷地は地方税法第349条の3の2第1項で除かれます。勧告がなくても、家屋がこれにあたらないと判定されれば適用されないと考えられます
- 居住世帯のない期間は20年以上が22.5%で最も多く、1年未満は7.9%でした(図表4-48)
1年は「空家等」にあたるかどうかを考えるときの目安の期間で、指導や勧告を分けるのは家の状態です。 空いた日数を数えるよりも、家の状態を保つ管理を続けているかどうかが、所有者にとっての要点になります。
誰も住まないご実家を、毎月みまもります
貸すか、売るか、持ち続けるか。決めるまでの間も空き家は傷みます。
担当が月1回訪問して状況を確認し、写真つきの報告書でお送りします。月2,750円(税込)から、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で承っています。
お申し込みはネットで完結します。所要3分ほどです。
根拠にした資料
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条・第5条・第9条・第13条・第22条
地方税法 第349条の3の2
総務省行政評価局「空き家対策に関する実態調査 結果報告書」(平成31年1月)コラム1<空き家の定義>
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-48
調査の割合は不詳を除いて集計された値です。条文は e-Gov 法令検索で確認した現行法です。