空き家を解体したあと、
固定資産税の減免はあるか
固定資産税の
固定資産税の減免を定めているのは地方税法第367条です。減免できるのは、天災その他特別の事情がある場合や、貧困により公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に「限り」、しかも「当該市町村の条例の定めるところにより」行うと書かれています。地方税法第367条の文言に、解体(除却)という語は出てきません。解体したあとに減免があるかどうかは、家のある市町村の条例で決まります。国土交通省の調査では、空き家として持ち続ける意向の世帯の28.2%が「取り壊すと固定資産税が高くなる」を理由に挙げていました。条文と調査から、減免の根拠と、窓口で確かめる点を整理しました。
減免を定めた条文
地方税法第367条の文言
地方税法(昭和25年法律第226号)で、固定資産税の減免を定めているのは第367条です。
地方税法第367条
市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。
出典:地方税法(昭和25年法律第226号)第367条
地方税法第367条が挙げているのは、天災その他特別の事情がある場合と、 貧困により公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者です。 その後に「限り」と置かれていて、広く認める形では書かれていません。 条文の中に、家屋の解体や除却を挙げた文言はありません。
減免を決める主体
地方税法第367条で減免を行うのは市町村長で、その中身は「当該市町村の条例の定めるところにより」決まります。 語尾は「することができる」で、減免を義務づける書き方ではありません。
そのため、解体したあとの土地が減免の対象になるかどうかは、市町村ごとの条例の書き方によります。 解体を理由とする減免が「特別の事情」に当たるかも、各市町村の条例と、その運用を定めた規則・要綱で判断されると考えられます。 東京都の特別区の区域では、地方税法第734条第1項により都が固定資産税を課するため、見るのは東京都の条例になります。
減免とは別の2つの定め
課税をしないこと
地方税法には、減免とは別に、地方団体が課税のしかたを変えられる定めが第6条に置かれています。
地方税法第6条第1項
地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。
出典:地方税法第6条第1項
不均一の課税
地方税法第6条第2項は、課税をしないことではなく、不均一の課税を認める定めです。
地方税法第6条第2項
地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。
出典:地方税法第6条第2項
地方税法第6条も、語尾は「できる」です。この定めを使うか、使うとしてどの土地を対象にするかは、地方団体が決めます。 減免(第367条)・課税をしないこと(第6条第1項)・不均一の課税(第6条第2項)のいずれも、国の法律が所有者に一律に与えるものではありません。
解体で変わるもの
住宅用地の特例の範囲
地方税法第349条の3の2第1項は、住宅用地を「専ら人の居住の用に供する家屋」などの「敷地の用に供されている土地」と定め、 その課税標準を価格の3分の1としています。同じ条の第2項は、面積200平方メートル以下の部分などの小規模住宅用地を価格の6分の1としています。 家屋を取り壊すと、土地は家屋の敷地ではなくなるため、この特例から外れると考えられます。
出典:地方税法第349条の3の2第1項・第2項
地方税法第349条の3の2第1項は、住宅用地の範囲の細部を「政令で定めるもの」としています。 建て替えの途中の土地などの扱いは、市町村の資産税の担当窓口で確かめられます。
1月1日の状態
地方税法第359条
固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。
出典:地方税法第359条
固定資産税は賦課期日の状態で課されるため、1月1日の時点で家屋の敷地でなくなっていれば、その年度は特例から外れると考えられます。 特例が外れても、払う額がそのまま6倍になるとは限りません。家屋が無くなれば、家屋にかかっていた税はかからなくなると考えられます。 増える額の見込みは 更地にすると固定資産税はいくら上がるのかと 固定資産税が6倍になるのはいつからかで確かめられます。
調査に表れた税の心配
取り壊さない理由
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)は、 今後5年間程度のうち空き家として所有しておく意向の世帯に、その理由を聞いています(複数回答)。
| 空き家として所有しておく理由(抜粋) | 割合 |
|---|---|
| 物置として必要 | 55.8% |
| 解体費用をかけたくない | 47.3% |
| さら地にしても使い道がない | 34.8% |
| 取り壊すと固定資産税が高くなる | 28.2% |
出典:国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-130。複数回答。
「取り壊すと固定資産税が高くなる」は、調査票で取り壊さない理由として区分された3項目の一つです。 減免の有無は、取り壊すかどうかの判断に関わる情報の一つと考えられます。
特例から外れる措置の認知
同じ調査は、勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地が固定資産税等の軽減対象から除外される措置を知っているかも聞いています。
| 除外措置 | 知っている | 聞いたことがある | 知らない |
|---|---|---|---|
| 特定空家等の敷地 | 16.2% | 30.1% | 53.7% |
| 管理不全空家等の敷地 | 15.5% | 29.4% | 55.1% |
出典:同調査 図表4-133。「聞いたことがある」は「詳しい内容までは知らないが聞いたことがある」。
どちらも「知らない」が5割を超えています。勧告による除外は、地方税法第349条の3の2第1項のかっこ書きに置かれています。 家を残したままでも、勧告を受けると特例から外れます。
窓口で確かめる点
解体の前に、家のある市町村の資産税の担当窓口で、次の順に確かめると判断がつきます。 東京都の特別区の区域では、都が固定資産税を課するため(地方税法第734条第1項)、確かめる先は都の窓口になります。
- 固定資産税の減免の条例に、解体した土地や除却した空家の跡地を挙げた定めがあるか
- 定めがある場合、対象になる条件。どのような建物を除却した場合か、どの年度の分か、何年度続くか
- 申請の期限と書式。解体業者と契約する前に確認する
- 定めが無い場合、翌年度の土地の税額の見込み。課税明細書を持参すると話が早い
- 都市計画税がかかる区域では、都市計画税の扱いも合わせて確かめる
減免の有無と条件は市町村の条例で決まるため、隣の市と扱いが違うことがあります。 ほかの市町村に減免があるから自分の家も同じ、とは限りません。
調査結果のまとめ
- 固定資産税の減免は地方税法第367条が定めています。対象は天災その他特別の事情がある場合や、貧困により公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に「限り」です
- 減免は「当該市町村の条例の定めるところにより」行われ、語尾は「することができる」です。地方税法第367条の文言に、解体(除却)という語は出てきません
- 減免とは別に、地方税法第6条は課税をしないこと(第1項)と不均一の課税(第2項)を地方団体に認めています。これも語尾は「できる」です
- 家屋を取り壊すと、土地は住宅用地の特例(価格の3分の1、小規模住宅用地は6分の1)から外れると考えられます(地方税法第349条の3の2第1項・第2項)。賦課期日は1月1日です(地方税法第359条)。範囲の細部は政令で定められているため、建て替えの途中の土地などの扱いは窓口で確かめられます
- 空き家として所有しておく理由に「取り壊すと固定資産税が高くなる」を挙げた世帯は28.2%で、「解体費用をかけたくない」は47.3%でした(図表4-130・複数回答)
- 勧告による特例からの除外措置を「知らない」世帯は、特定空家等で53.7%、管理不全空家等で55.1%でした(図表4-133)
本記事は地方税法の条文と国の調査を整理したものです。 解体したあとの減免の有無・条件・申請の期限は市町村の条例で決まるため、家のある市町村(東京都の特別区では都)の資産税の担当窓口で確かめることになります。
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根拠にした資料
地方税法(昭和25年法律第226号)第6条・第349条の3の2・第359条・第367条・第734条
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-130・図表4-133
条文は2026年10月6日に e-Gov 法令検索の掲載内容で確認しました。減免の有無・条件・申請の期限は市町村の条例で決まるため、家のある市町村の資産税の担当窓口で確かめられます。