管理不全空家の指導が来た。
どう対応すればよいか
どう
管理不全空家等への指導は、空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項にもとづく措置です。指導の段階では、固定資産税の住宅用地の特例は外れず、従わなかったことを理由とする過料の定めもありません。次の段階の勧告(同条第2項)は、指導をしたうえで、なお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと市町村長が認めたときに行われます。勧告を受けると、土地は住宅用地の特例から外れます。条文は指導の期限も、改善の示し方も、勧告の撤回の手続きも定めていません。そこで、通知書と窓口で何を確かめるかを手順にしました。
通知の種類と根拠の条文
通知書の題で段階が分かる
市町村から届く通知は、条文ごとに題が違います。 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「空家法」といいます)が定める措置を、段階の順に並べると次のとおりです。
| 通知の種類 | 根拠の条文 | 対象の空家等 |
|---|---|---|
| 指導 | 空家法第13条第1項 | 管理不全空家等 |
| 勧告 | 空家法第13条第2項 | 管理不全空家等 |
| 助言または指導 | 空家法第22条第1項 | 特定空家等 |
| 勧告 | 空家法第22条第2項 | 特定空家等 |
| 命令 | 空家法第22条第3項 | 特定空家等 |
出典:空家法第13条第1項・第2項、第22条第1項から第3項まで
管理不全空家等に対する措置は、指導と勧告の2段階です。 空家法第13条は第1項と第2項だけで、命令や代執行を定めた項はありません。 通知書の題が「指導」であれば、最初の段階にいることになります。 題が「勧告」であれば、指導の次の段階に進んでいます。
過料の定めがあるもの
空家法で過料が定められているのは第30条だけです。 第1項は第22条第3項の命令に違反した者に50万円以下、 第2項は第9条第2項の報告や立入調査に関する違反をした者に20万円以下の過料を定めています。 空家法第13条の指導や勧告に従わなかったことを理由とする過料は、空家法第30条にありません。
出典:空家法第30条第1項・第2項
指導から勧告までの条文
指導の条文
指導の根拠は空家法第13条第1項です。
空家法第13条第1項
市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、基本指針(第六条第二項第三号に掲げる事項に係る部分に限る。)に即し、当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。
出典:空家法第13条第1項
指導の内容は、管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置です。 指導の相手は、空家法第5条が定める所有者等、つまり空家等の所有者または管理者です。 措置の中身は条文に列挙されていないため、通知書に書かれた内容が、求められている措置になります。
出典:空家法第5条、第13条第1項
勧告に進む条件
勧告は、空家法第13条第2項に置かれています。
空家法第13条第2項
市町村長は、前項の規定による指導をした場合において、なお当該管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、当該指導をした者に対し、修繕、立木竹の伐採その他の当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な具体的な措置について勧告することができる。
出典:空家法第13条第2項
条文から、勧告の条件は3つに分かれます。
- 指導をしたこと
- 指導のあとも、なお管理不全空家等の状態が改善されていないこと
- そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと、市町村長が認めること
指導の時点で求められた措置をとり、状態が改善されていれば、2つ目の条件は満たされないことになります。 ただし、改善されたかどうかを認めるのは市町村長です。 勧告の内容は、修繕、立木竹の伐採その他の具体的な措置です。 特定空家等への勧告は、空家法第22条第2項に「相当の猶予期限を付けて」と書かれていますが、 空家法第13条第2項には期限を定める文言がありません。
出典:空家法第13条第2項、第22条第2項
通知を受け取ってからの手順
進める順番
- 通知書の題と根拠の条文を読む。前の節の表で、指導か勧告かを見分けます。特定空家等の助言・指導や勧告、命令の題であれば、管理不全空家等より先の段階です
- 求められている措置と期限を読む。空家法第13条に期限の定めはないため、期限があるかどうか、いつまでかは通知書に書かれた内容で決まります。書かれていなければ、通知を出した窓口で聞きます
- 措置をとり、前後の状況を残す。条文には改善を示す方法の定めがないため、措置の前後の写真、業者の見積書や請求書、作業の報告書など、状況を説明できる資料を手元に残しておくと、窓口で説明しやすくなると考えられます
- 措置をとったことを窓口に伝える。改善されたと認めるのは市町村長です。何をもって確認するかは、通知を出した市区町村に聞きます
- 勧告に進んでいる場合は、税の窓口にも聞く。勧告を受けると土地の固定資産税に影響します。次の節の内容を、課税を担当する窓口に確かめます
出典:空家法第13条第1項・第2項
窓口で確かめる項目
条文で決まっていることと、窓口で決まることを分けると次のとおりです。
| 項目 | 条文で決まっていること | 窓口で確かめること |
|---|---|---|
| 期限 | 空家法第13条に定めなし | 通知書の期限の日付、期限までに終わらない場合の扱い |
| 改善の示し方 | 定めなし | 写真や書面など、何を出すか。職員が現地を見るかどうか |
| 勧告の撤回 | 空家法に「撤回」の語はなく、手続きを定めた条文も見当たらない | 勧告が撤回される条件と、撤回後の固定資産税の扱い |
出典:空家法第13条・第22条第2項。「窓口で確かめること」の列は条文の定めが無い項目について当社が整理したものです。
勧告のあとに措置をとった場合に、勧告や税の扱いがどう変わるかは、空家法の条文だけでは分かりません。 撤回の求め方も条文に書かれていないため、勧告を出した市区町村の空き家対策の担当窓口に、措置を終えたことを伝えたうえで、勧告の扱いを直接聞くのが確かな道です。
勧告を受けた場合の固定資産税
住宅用地から外れる定め
地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2第1項は、住宅用地から、 空家法第13条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた管理不全空家等の敷地の用に供されている土地を除いています。 空家法第22条第2項の規定により勧告がされた特定空家等の敷地も同じです。 きっかけは勧告で、指導の段階では土地は除かれません。
出典:地方税法第349条の3の2第1項
住宅用地から外れた場合に税額がどう変わるか、どの年度から変わるかは、 「管理不全空家等」に指定されると、固定資産税はいくら上がるのかと 固定資産税が6倍になるのはいつからか。賦課期日の考え方にまとめています。
調査に出ている認知状況
国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査結果」では、 管理不全空家等への措置を知っている世帯は21.6%、知らない世帯は38.4%でした。 管理不全空家等の敷地に係る固定資産税等の軽減対象からの除外措置を知っている世帯は15.5%、知らない世帯は55.1%でした。
出典:国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-133
措置そのものより、税とのつながりのほうが知られていない、という差が出ています。 通知が届いてから税の話を知る、という順番になりやすいと考えられます。
調査結果のまとめ
- 管理不全空家等への措置は、指導(空家法第13条第1項)と勧告(同条第2項)の2段階です。命令と代執行の定めはありません
- 指導の段階では住宅用地の特例は外れません。外れるのは勧告を受けた土地です(地方税法第349条の3の2第1項)
- 勧告の条件は、指導をしたこと、なお状態が改善されていないこと、特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと市町村長が認めることの3つです
- 過料が定められているのは空家法第30条にある2種類だけで、第13条の指導や勧告に従わなかったことを理由とする過料はありません
- 空家法第13条は、指導の期限も、改善の示し方も定めていません。空家法に勧告の撤回の手続きを定めた条文も見当たりません
- 調査では、管理不全空家等の敷地に係る固定資産税等の軽減対象からの除外措置を知らない世帯が55.1%でした(図表4-133)
通知が届いたら、まず題と根拠の条文で段階を確かめ、通知書の措置と期限を読みます。 勧告に進む条件の一つは「なお状態が改善されず」であるため、指導の段階で措置をとることが、勧告と税の影響を遠ざけることにつながります。 期限、改善の示し方、勧告の撤回の扱いは、通知を出した市区町村の空き家対策の担当窓口で確かめられます。
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根拠にした資料
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条・第13条・第22条・第30条
地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-133
条文は2026年9月10日に取得した e-Gov 法令検索の内容にもとづきます。指導や勧告の運用は市区町村ごとに異なることがあり、個別の通知への対応は通知を出した市区町村が判断します。