住まない実家を相続すると、
何にいくらかかるのか
何に
国の調査では、空き家の維持管理にかかる年間費用は5万円未満が約5割で、最も多い区分は10〜20万円未満(16.7%)でした。金額だけを見れば、負担は大きくありません。ただし同じ調査には、もう一つの数字があります。構造上の不具合が生じていた空き家ほど、費用が低いのです。費用がかからないのではなく、かけていない家が傷んでいます。
年間の維持管理費用は、実際にいくらか
最も多い区分は10〜20万円未満
国土交通省は2025年8月に「令和6年空き家所有者実態調査結果」を公表しました。 全国の空き家所有世帯を対象とした調査で、年間の維持管理費用を8区分で集計しています(対象1,381千戸)。
| 年間の維持管理費用 | 割合 |
|---|---|
| 費用はかかっていない | 12.1% |
| 1万円未満 | 10.6% |
| 1〜3万円未満 | 14.1% |
| 3〜5万円未満 | 11.0% |
| 5〜10万円未満 | 15.6% |
| 10〜20万円未満 | 16.7% |
| 20〜30万円未満 | 8.5% |
| 30万円以上 | 8.5% |
| 不明 | 2.9% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-74
5万円未満が約5割を占める
「費用はかかっていない」から「3〜5万円未満」までを合わせると約5割です。 そのうち「費用はかかっていない」だけで約12%を占めます。
一方、20万円以上は合わせて17.0%でした。 金額の分布は、低いほうと高いほうに分かれています。 平均額を求めても、どちらの実態も表さないと考えられます。
その費用に何が含まれているか
調査が費用として数えているもの
同調査は「維持管理に要する費用」を、建物及び敷地の維持管理に要する年間の費用と定義し、 次のものを含めています。
- 管理を委託している場合の管理委託料
- 電話・ガス・水道等を契約している場合の費用
- 空き家までの交通費
- 税金
- 共同住宅や長屋の場合は、共益費・管理費、修繕積立金
固定資産税も交通費も含んだ金額です。上の分布は、実家を持ち続けるために出ていく額のほぼ全体と考えられます。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)用語の定義
建物がある間は、土地の課税標準が下がる
地方税法第349条の3の2は、住宅が建っている土地の課税標準を、 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)で価格の6分の1、それを超える部分で3分の1と定めています。 人が住んでいなくても、住宅として使える建物が建っていれば、この特例は適用されます。
建物を取り壊すと特例が外れ、土地の固定資産税は計算上およそ6倍になります。 「使わないから壊す」という判断は、解体費用のほかに毎年の税負担の増加を伴います。
出典:地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2
税額は物件ごとに異なります
ここに書いた倍率は課税標準の計算上のものであり、実際の税額は評価額・税率・負担調整によって変わる概算です。 具体的な金額は、家がある市区町村の資産税担当課、または税理士に確認する必要があります。
費用が低い空き家ほど傷んでいる
腐朽・破損の程度別に見た費用
同調査は、費用の分布を建物の傷み具合で分けても集計しています。 5万円未満(「費用はかかっていない」を含む)の割合は次のとおりです。
| 建物の状態 | 年間費用が5万円未満の割合 |
|---|---|
| 構造上の不具合が生じていた | 約7割 |
| 構造上の不具合や腐朽・破損はなかった | 約4割 |
調査本文は、「腐朽・破損の程度が大きくなるほど、費用が低くなる傾向」と記しています。 傷んでいる家ほど、お金をかけていないという関係です。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-77
建築時期別でも同じ傾向
建築時期で分けても同じ向きの差が出ています。 年間費用が5万円未満の割合は、1950年以前の建物で約6割、2011年以降の建物で約3割でした。 古い建物ほど費用が低くなっています。
出典:同調査 図表4-76
この数字が示していること・示していないこと
調査が示しているのは関係の向きであり、原因と結果ではありません。 「費用をかけないから傷む」のか「傷んだ結果、手をかけなくなった」のかは、この調査からは判別できません。
ただし、費用をかけている家のほうが傷んでいないという関係が全国の集計に表れていることは事実です。 なお、空き家全体では構造上の不具合が生じていたものが19.6%、外観または室内に部分的な腐朽・破損があったものが43.2%で、 何も傷んでいない家は34.1%にとどまります(図表4-53)。
遠方の所有者に起きていること
管理をする上での課題
同調査は、管理をする上での課題も聞いています(複数回答)。
| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 管理の作業が大変 | 31.7% |
| 課題はない | 30.5% |
| 住宅を利用する予定がないので管理しても無駄になる | 27.1% |
| 管理費用の負担が大きい | 22.5% |
| 遠方に住んでいるので往訪が困難 | 21.6% |
| 管理を頼める人や業者がいない | 5.9% |
出典:同調査 図表4-79
管理の頻度と、実際に行っている作業
管理者がいる空き家では、月に1回以上管理している世帯が約7割でした (ほぼ毎日17.7%、週に1〜数回19.1%、月に1〜数回34.0%)。 年に1〜数回は27.6%です。
管理の内容は、外回りの清掃・草取り・剪定が79.5%、戸締まりの確認が74.9%、住宅の通風・換気が66.9%、 水回りなどの点検・通水が43.3%でした。
そして主な管理者は、所有者または同居している親族が76.8%を占めます。 不動産業者・建築会社・管理専門業者などに委託しているのは3.8%にとどまり、 誰も管理していない空き家が3.8%あります。
出典:同調査 図表4-65、図表4-67、図表4-64
月に1回以上、往復して、草を取り、戸締まりを確かめ、窓を開けて水を流す。 これを続けている人が大半で、その多くは所有者本人です。 「遠方で往訪が困難」(21.6%)と「管理の作業が大変」(31.7%)は、この作業量から出ていると考えられます。
調査結果のまとめ
- 空き家の年間維持管理費用は5万円未満が約5割、最も多い区分は10〜20万円未満で16.7%。20万円以上は合わせて17.0%(図表4-74)
- この費用には管理委託料・光熱費・交通費・税金が含まれる(同調査の定義)
- 住宅が建っている土地は課税標準が6分の1または3分の1になる。取り壊すとこの特例が外れる(地方税法第349条の3の2)
- 構造上の不具合が生じていた空き家は、年間費用5万円未満が約7割。傷んでいない空き家では約4割(図表4-77)
- 空き家の19.6%に構造上の不具合、43.2%に部分的な腐朽・破損があった(図表4-53)
- 管理者の76.8%は所有者または同居親族。専門業者への委託は3.8%(図表4-64)
- 課題は管理の作業が大変31.7%、遠方で往訪が困難21.6%(図表4-79)
金額そのものは、多くの世帯で年10万円台までに収まっています。 負担として重いのは金額よりも、月に1回以上、自分で往復して作業を続けることだと考えられます。
誰も住まないご実家を、毎月みまもります
貸すか、売るか、持ち続けるか。決めるまでの間も空き家は傷みます。
担当が月1回訪問して状況を確認し、写真つきの報告書でお送りします。月2,750円(税込)から、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で承っています。
お申し込みはネットで完結します。所要3分ほどです。
根拠にした資料
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)
租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第35条第3項・第4項
地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2
不動産登記法(相続登記の申請の義務化。2024年4月1日施行)
借地借家法(平成3年法律第90号)
当社集計:全国585自治体の空き家バンク掲載情報 10,954件(2026年9月時点)
条文は2026年9月7日に e-Gov 法令検索で確認しました。税額と控除の可否は個々の事情で変わります。断定的な判断はしていません。実際の適用は、物件のある自治体の資産税担当または税理士にご確認ください。