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税金・制度

空き家の固定資産税は、
いくらかかるのか

住んでいなくても、家が建っていれば住宅用地の特例は続きます。地方税法第349条の3の2は、住宅用地の課税標準を価格の3分の1、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)を価格の6分の1と定めています。標準税率は100分の1.4です(同法第350条第1項)。特例が外れるのは、建物を取り壊したときと、管理不全空家等または特定空家等として勧告を受けたときです。誰に、いつの時点で、どう計算してかかるのかを条文にあたって整理しました。税額は概算であり、実際の額は市区町村にご確認ください。

誰に、いつの時点でかかるか

賦課期日は1月1日

固定資産税は、年の途中の状態ではなく、決まった一日の状態で課されます。

地方税法第359条

固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

出典:地方税法(昭和25年法律第226号)第359条

1月1日の状態で、その年度の課税が決まります。 年の途中で取り壊しても売却しても、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者です。 逆に、1月2日以降に取り壊した場合、土地の扱いが変わるのは翌年度になります。

納税義務者は「所有者」

かかる相手は条文で決まっています。

地方税法第343条第1項

固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。

出典:同法第343条第1項

同条第2項は、土地または家屋についての「所有者」を 登記簿または土地補充課税台帳もしくは家屋補充課税台帳に所有者として登記または登録がされている者と定めています。 そのうえで、所有者として登記または登録がされている個人が賦課期日前に死亡しているときは、 同日において当該土地または家屋を現に所有している者をいうとしています。

出典:同法第343条第2項

名義が亡くなった人のままでも、課税は止まりません。 1月1日時点で現に所有している相続人に課されます。 名義を動かす手続きは 相続登記の義務化。3年以内に何をすればよいのかにまとめています。

計算の順番

課税標準と税率

計算は、価格に税率を乗じる形です。地方税法第349条第1項は、 土地または家屋に対して課する固定資産税の課税標準を、 賦課期日における価格で土地課税台帳等または家屋課税台帳等に登録されたものとしています。

地方税法第350条第1項

固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。

出典:同法第349条第1項・第350条第1項

標準税率は100分の1.4です。標準税率であるため、市町村の条例で異なる税率が定められることがあります。 計算の骨格は次のとおりです。

  1. 土地課税台帳等・家屋課税台帳等に登録された価格を出発点にする
  2. 土地が住宅用地に当たる場合は、課税標準を価格の3分の1または6分の1にする(第349条の3の2)
  3. 課税標準に税率を乗じる

免税点

課税標準が小さい場合には、課税されない定めがあります。

地方税法第351条

市町村は、同一の者について当該市町村の区域内におけるその者の所有に係る土地、家屋又は償却資産に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が土地にあつては三十万円、家屋にあつては二十万円、償却資産にあつては百五十万円に満たない場合においては、固定資産税を課することができない。

出典:同法第351条。ただし書は省略しています。財政上その他特別の必要がある場合は、条例の定めにより課することができるとされています。

土地は30万円、家屋は20万円が境目です。 同一の市町村内に複数の不動産を持っている場合は合算して判定されます。 傷んだ家屋の価格が下がって20万円に満たなくなると、家屋の側の課税が止まることがあります。 判定は市町村が行います。

住宅用地の特例

3分の1と6分の1

土地の税額を大きく動かすのが、住宅用地の特例です。

地方税法第349条の3の2第1項

専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの

出典:同法第349条の3の2第1項(冒頭部分)

この土地を「住宅用地」といい、第1項は課税標準を価格の3分の1としています。 さらに面積の小さい部分には、より大きな特例があります。

地方税法第349条の3の2第2項

住宅用地のうち、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める住宅用地に該当するもの(以下この項において「小規模住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条、前条第十一項及び前項の規定にかかわらず、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の六分の一の額とする。

出典:同法第349条の3の2第2項

同項第1号は、住宅用地でその面積が200平方メートル以下であるものを小規模住宅用地とし、 第2号は、200平方メートルを超える場合について、住居の数で除して得た面積で判定するとしています。

出典:同法第349条の3の2第2項第1号・第2号

数字を当てはめた概算

土地の価格が1,200万円、面積が150平方メートル、標準税率で計算する場合の概算は次のとおりです。

 家屋が建っている更地
土地の価格1,200万円1,200万円
課税標準200万円(価格の6分の1)1,200万円
税率100分の1.4100分の1.4
税額の概算28,000円168,000円

条文の課税標準と標準税率をそのまま当てはめた概算です。実際の課税標準額は、価格の変動に応じた調整の定めなどにより、この計算どおりになるとは限りません。実際の額は課税明細書、または物件のある市区町村の資産税の担当窓口でご確認ください。

家屋にも別に固定資産税がかかります。 更地にすると家屋の分は消えますが、土地の課税標準が6倍になります。 どちらが大きいかは物件によって変わります。

特例が外れる2つの場合

建物を取り壊したとき

住宅用地は、家屋の敷地の用に供されている土地を指します。 家屋がなくなれば、その土地は住宅用地に当たらなくなります。 結果として、200平方メートル以下の部分は計算上およそ6倍、これを超える部分はおよそ3倍になります。 倍率は一律ではありません。

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査結果」では、 今後5年間程度のうち空き家として所有しておく意向の世帯が挙げた理由として、 解体費用をかけたくないが47.3%、さら地にしても使い道がないが34.8%、 取り壊すと固定資産税が高くなるが28.2%でした。

出典:国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-130(複数回答)

取り壊したあとの土地の使い道については、 相続土地国庫帰属制度は、空き家のある土地に使えるのかで条文を整理しています。

勧告を受けたとき

建物を残していても、特例が外れる場合があります。 地方税法第349条の3の2第1項は、住宅用地から除かれる土地として、 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「空家法」といいます) 第13条第2項の規定により勧告がされた管理不全空家等と、 第22条第2項の規定により勧告がされた特定空家等の敷地の用に供されている土地を挙げています。

出典:地方税法第349条の3の2第1項の括弧書き

空家法第13条第1項は、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等を 管理不全空家等とし、市町村長が必要な措置をとるよう指導することができると定めています。 同条第2項は、指導をしてもなお状態が改善されないときに勧告をすることができるとしています。

特定空家等については、同法第22条第1項が助言または指導、第2項が相当の猶予期限を付けた勧告、 第3項が命令、第9項が行政代執行法の定めるところに従った代執行を定めています。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項・第2項、第22条第1項から第3項まで・第9項

外れるのは勧告の段階です。指導の段階ではありません。 指定から勧告までの流れと税額の動き方は 「管理不全空家等」に指定されると、固定資産税はいくら上がるのかにまとめています。

都市計画税

課税される区域

固定資産税と一緒に課されることが多いのが都市計画税です。 地方税法第702条第1項は、市町村が都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるため、 都市計画区域のうち市街化区域内に所在する土地および家屋に対し、 その価格を課税標準として所有者に都市計画税を課することができると定めています。

出典:地方税法第702条第1項

市街化区域の外では、課されないことがあります。 市街化調整区域については、均衡を著しく失すると認められる特別の事情がある場合に、 条例で定める区域内の土地および家屋について同様とするとされています。

都市計画税の住宅用地の特例

都市計画税にも、住宅用地の特例があります。割合は固定資産税と異なります。

地方税法第702条の3第1項

第三百四十九条の三の二第一項又は第三百四十九条の三の三第一項(同条第二項において準用する場合及び同条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により読み替えて適用される場合を含む。次項において同じ。)の規定の適用を受ける土地に対して課する都市計画税の課税標準は、第七百二条第一項の規定にかかわらず、当該土地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の三分の二の額とする。

出典:地方税法第702条の3第1項

住宅用地は価格の3分の2、小規模住宅用地は価格の3分の1です(同条第2項)。 固定資産税の3分の1・6分の1とは別の数字になっています。 都市計画税の税率は市町村の条例で定められます。

出典:同法第702条の3第1項・第2項

制度の知られ方と、確かめる

調査に出ている認知状況

特例が外れる仕組みは、所有者にどの程度知られているかが調査されています。

 知っている聞いたことがある知らない
特定空家等への措置24.0%43.7%32.3%
管理不全空家等への措置21.6%40.0%38.4%
特定空家等の敷地に係る固定資産税等の軽減対象からの除外措置16.2%30.1%53.7%
管理不全空家等の敷地に係る固定資産税等の軽減対象からの除外措置15.5%29.4%55.1%

出典:同調査 図表4-133。「聞いたことがある」は「詳しい内容までは知らないが聞いたことがある」です。

措置そのものを知らない世帯は3割台ですが、 税の軽減対象から外れるという部分を知らない世帯は5割を超えています。 措置の名前は届いていても、税とのつながりは届いていない、という差が出ています。

自分の家の額を確かめる

額は物件ごとに決まっています。確かめられる場所は3つです。

  1. 納税通知書に付いてくる課税明細書。土地と家屋のそれぞれについて、価格と課税標準額が記載されています
  2. 物件のある市区町村の資産税の担当窓口。住宅用地の特例が適用されているか、勧告の有無がどう扱われているかを確かめられます
  3. 税理士。取り壊しや売却の時期と税額の関係を含めて相談できます

1月1日という賦課期日があるため、取り壊しや引き渡しの時期は、年をまたぐかどうかで扱いが変わります。 判断の前に、上の窓口で確かめる作業を入れることになります。 留守にしている間の管理と税の関係は 転勤で空き家になる家。留守中に必要な手当てでも触れています。

調査結果のまとめ

空き家だから高くなる、という定めはありません。 変わるのは、家屋を取り壊したときと、勧告を受けたときの2つです。 本記事の税額は概算であり、個別の判定ではありません。 実際の額と適用の有無は、物件のある市区町村の資産税の担当窓口または税理士にご確認ください。

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根拠にした資料
地方税法(昭和25年法律第226号)第343条・第349条・第349条の3の2・第350条・第351条・第359条・第702条・第702条の3
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第13条・第22条
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-130・図表4-133
条文は2026年9月20日に e-Gov 法令検索で確認しました。本記事の税額は条文の課税標準と標準税率を当てはめた概算です。価格の変動に応じた調整の定め、条例で定める税率、住宅用地の判定によって実際の額は変わります。個別の額と適用の有無は、物件のある市区町村の資産税の担当窓口または税理士にご確認ください。