留守宅管理とは
何をするサービスか。空き家管理との違い
何を
作業の中身は、どちらも外回りの手入れ・戸締まりの確認・通風換気・郵便物の整理が中心です。国土交通省の調査では、管理者がいる空き家で外回りの清掃・草取り・剪定などを行っている世帯が79.5%、戸締まりの確認が74.9%、住宅の通風・換気が66.9%でした。違いは作業ではなく家の置かれている状態にあります。空家法が定義しているのは「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」で、戻る予定があるかどうかは条文の文言に書かれていません。言葉の指す範囲を、条文と統計にあたって整理しました。
2つの言葉が指している範囲
条文に定義があるのは「空家等」
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「空家法」といいます)は、 第2条で用語を定義しています。
空家法第2条第1項
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条第1項
定義の中心は「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」です。 持ち主が戻る予定を持っているかどうか、家財が残っているかどうかは、文言に入っていません。 同条第2項は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態などにある空家等を 「特定空家等」と定義しています。
出典:同法第2条第1項・第2項
当てはまるかどうかの判定は市町村が行います。 転勤や入院で一時的に不在にしている家が「空家等」に当たるかどうかは、 物件のある市区町村の空き家の担当窓口で確かめられます。
調査での区分の置かれ方
国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査結果」は、空き家を4つに区分しています。
| 区分 | 調査が定めている内容 |
|---|---|
| 使用目的のない空き家 | 貸家用、売却用及び二次的住宅・別荘用以外で空き家になっている住宅。転勤などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅が例に挙げられている |
| 貸家用の空き家 | 賃貸を目的に所有している住宅で居住世帯のない住宅 |
| 売却用の空き家 | 売却することを目的としている住宅で居住世帯のない住宅 |
| 二次的住宅・別荘用の空き家 | たまに使用する住宅や、週末・休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で利用する住宅 |
出典:同調査 図表1-2
調査でも、転勤で不在にしている家は「使用目的のない空き家」の側に置かれています。 持ち主の感覚では留守宅でも、統計と条文の上では空き家の区分に入る、という関係になります。 言葉が2つあるのは、持ち主から見た事情の違いを表しているためだと考えられます。
行われている作業の中身
調査に出ている管理の内容
調査は、管理者がいる空き家について管理の内容を尋ねています。
| 管理の内容 | 割合 |
|---|---|
| 外回りの清掃、草取り、剪定など | 79.5% |
| 戸締まりの確認 | 74.9% |
| 住宅の通風・換気 | 66.9% |
| 郵便物、チラシなどの整理・処分 | 57.0% |
| 住宅内の清掃 | 55.4% |
| 台風、地震などの後の見回り | 49.3% |
| 傷み、雨漏りなどのチェック・修繕 | 48.3% |
| 水回りなどの点検・通水 | 43.3% |
| 除排雪 | 16.6% |
出典:国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-65(複数回答)。このほかに、その他の内容が挙げられています。
この8項目が、留守宅管理と空き家管理のどちらでも中身になる作業です。 名前が違っても、現地で行うことは重なります。
空き家の種類で変わる上位3項目
調査は空き家の種類別にも集計しています。上位3項目の顔ぶれは種類によらず同じですが、割合が違います。
| 空き家の種類 | 外回りの清掃・草取り・剪定など | 戸締まりの確認 | 住宅の通風・換気 |
|---|---|---|---|
| 使用目的のない空き家 | 80.3% | 73.5% | 64.4% |
| 貸家用の空き家 | 72.8% | 64.0% | 47.4% |
| 売却用の空き家 | 75.8% | 69.7% | 62.6% |
| 二次的住宅・別荘用の空き家 | 82.0% | 83.2% | 80.2% |
出典:同調査 図表4-66(複数回答)。二次的住宅・別荘用の空き家では戸締まりの確認が1位です。
持ち主が使い続けている家ほど、3項目とも8割以上になっています。 逆に貸家用の空き家では住宅の通風・換気が47.4%まで下がります。 戻って使う予定があるかどうかが、作業の密度に表れていると考えられます。
担い手の内訳
主な管理者
空き家を主に管理しているのは誰かという設問には、次の結果が出ています。
| 主な管理者 | 割合 |
|---|---|
| 所有者または所有者と同居している親族 | 76.8% |
| 所有者と同居していない親族 | 13.5% |
| 不動産業者、建築会社、管理専門業者など | 3.8% |
| 自治会・近所の人 | 0.9% |
| その他の人 | 1.3% |
| 誰も管理していない | 3.8% |
出典:同調査 図表4-63
所有者または親族で約8割を占めています。 サービスに頼んでいるのは3.8%で、誰も管理していないと答えた割合と同じ水準です。
空き家の種類別の担い手
業者が管理している割合は、空き家の種類によって差があります。 貸家用の空き家では13.9%、売却用の空き家では7.5%です。 人に見せる前提のある家ほど、外部に任せる割合が高くなっています。
出典:同調査 図表4-64
管理をする上での課題では、管理の作業が大変が31.7%、 住宅を利用する予定がないので管理しても無駄になるが27.1%、 管理費用の負担が大きいが22.5%、遠方に住んでいるので往訪が困難が21.6%、 管理を頼める人や業者がいないが5.9%でした。
出典:同調査 図表4-79(複数回答)
留守宅と空き家で変わるもの
変わらないもの
留守宅と呼んでも空き家と呼んでも、次の3つは同じように働きます。
- 傷みの進み方。構造上の不具合が生じていた割合は、管理が月に1回以上で15〜18%、年に1〜数回で24.3%、数年に1回で33.3%でした(図表4-58)
- 所有者等の責務。空家法第5条は、空家等の所有者等が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めなければならないと定めています
- 工作物の責任。民法第717条第1項は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときの賠償責任を、占有者、次いで所有者に負わせています
出典:同調査 図表4-58/空家等対策の推進に関する特別措置法第5条/民法(明治29年法律第89号)第717条第1項
変わるもの
一方、持ち主の事情によって作業の重みは変わります。
| 項目 | 戻る予定がある家 | 戻る予定のない家 |
|---|---|---|
| 家財 | 置いたまま使う前提 | 処分の対象になる |
| 通風・換気 | 戻ったときの状態を保つため行う | 傷みを止めるため行う |
| 郵便物 | 転送や保管の扱いを決める | 整理・処分が中心 |
| 設備 | 使える状態を保つ | 止めるかどうかを決める |
| 出口 | 帰任・退院など時期が決まっている | 売る・貸す・持ち続けるの判断が残る |
調査でも、郵便物・チラシなどの整理・処分は57.0%の世帯が行っています(図表4-65)。 戻る予定のある家では、ここに保管という選択が加わります。 売る・貸す・持ち続けるの判断そのものは 相続した実家を、売る・貸す・持ち続ける。何を基準に決めるかで整理しています。
頼むときに確かめる項目
契約で決まること
名前が留守宅管理でも空き家管理でも、契約で決まるのは同じ4つだと考えられます。
- 範囲。図表4-65の8項目のうち、どれが含まれるか。外回りの清掃・草取り・剪定など、戸締まりの確認、住宅の通風・換気、郵便物・チラシなどの整理・処分、住宅内の清掃、台風・地震などの後の見回り、傷み・雨漏りなどのチェック・修繕、水回りなどの点検・通水
- 頻度。調査の区分では、月に1回以上と年に1〜数回の間で家の状態に差が出ています(図表4-58)
- 鍵の扱い。屋内に入る作業(通風・換気、住宅内の清掃、水回りなどの点検・通水)を含めるかどうかで変わります
- 報告の形。現地に行けない持ち主が状態を知る手段になります
管理面での心配事は、住宅の腐朽・破損の進行が75.7%、樹木・雑草の繁茂が58.0%、 地震・台風・豪雪などによる住宅の損壊・倒壊が56.9%、不審者の侵入や放火が51.7%でした。 心配事はないは37.0%です。
出典:同調査 図表4-61(複数回答)
報告のされ方
屋外の手入れと戸締まりの確認は、行った結果が写真で分かります。 一方、通風・換気と水回りなどの点検・通水は、行ったこと自体を記録に残さなければ確かめられません。 調査でも水回りなどの点検・通水は43.3%で、8項目のうち最も低い位置にありました(図表4-65)。
当社は、月1回の訪問と写真つき報告書で月2,750円(税込)から、 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の空き家を承っています。 転勤で留守にする家の手当ては 転勤で空き家になる家。留守中に必要な手当て、 赴任中に貸すかどうかの比較は 海外赴任のあいだ、家をどうするか。空き家管理と賃貸の比較にまとめています。
調査結果のまとめ
- 条文に定義があるのは「空家等」です。建築物などであって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいいます(空家法第2条第1項)。戻る予定の有無は文言に入っていません
- 調査でも、転勤などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅は「使用目的のない空き家」に含まれています(図表1-2)
- 管理の内容は外回りの清掃・草取り・剪定などが79.5%、戸締まりの確認が74.9%、住宅の通風・換気が66.9%、郵便物・チラシなどの整理・処分が57.0%でした(図表4-65・複数回答)
- 種類別では、二次的住宅・別荘用の空き家で上位3項目がいずれも8割以上(82.0%・83.2%・80.2%)、貸家用の空き家では住宅の通風・換気が47.4%でした(図表4-66)
- 主な管理者は所有者または同居している親族が76.8%、同居していない親族が13.5%、業者が3.8%、誰も管理していないが3.8%です(図表4-63)
- 業者が管理している割合は、貸家用の空き家で13.9%、売却用の空き家で7.5%でした(図表4-64)
- 管理をする上での課題は、管理の作業が大変が31.7%、管理しても無駄になるが27.1%、管理費用の負担が大きいが22.5%、遠方で往訪が困難が21.6%です(図表4-79・複数回答)
- 所有者等には、空家等の適切な管理に努める責務があります(空家法第5条)。工作物の瑕疵による損害は占有者、次いで所有者が賠償の責任を負います(民法第717条第1項)
2つの言葉の差は、作業の種類ではなく家の置かれている状態と、出口が決まっているかどうかにあります。 「空家等」に当たるかどうかの判定は市町村が行うため、 個別の扱いは物件のある市区町村の窓口にご確認ください。
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根拠にした資料
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表1-2・図表4-58・図表4-61・図表4-63・図表4-64・図表4-65・図表4-66・図表4-79
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条・第5条
民法(明治29年法律第89号)第717条
当社の空き家管理サービスの料金(月2,750円・税込から。2026年9月時点)
条文は2026年9月20日に e-Gov 法令検索で確認しました。空家等に当たるかどうかの判定は市町村が行います。本記事は条文と統計の説明であり、個別の事案についての判断ではありません。実際の扱いは、物件のある市区町村の窓口にご確認ください。