空き家の通水はどのくらいの間隔で行うか。
封水が切れる仕組み
封水が
空き家の通水の間隔は、排水口の封水が切れる前に次の水を流せるかどうかで決まります。空家法第5条に回数の定めはなく、封水が減る速さは季節や排水口の形で変わると考えられるため、何日おきと一律には決まりません。国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)によると、管理者がいる空き家のうち「水回りなどの点検・通水」をしている世帯は43.3%で、管理の頻度は月に1~数回が34.0%で最も多い回答でした。実際の組み方は、訪問のたびに各排水口へ水を流し、着いたときの臭いと水位を記録して、次の間隔を家ごとに決めることが要点です。封水の仕組み、条文と国の資料の記載、調査の数字、間隔の決め方を整理しました。
封水が切れる仕組み
封水の役割
台所・洗面・浴室・トイレの排水口の下には、水をためて栓の代わりにする部分があります。この部分を排水トラップと呼び、たまっている水を封水(ふうすい)と呼びます。 封水があることで、下水の臭いと虫が排水管から室内へ上がりにくくなります。 人が住んでいる家では、水を使うたびに封水が入れ替わるため、切れることはほとんど意識されません。
空き家で封水が減る理由
空き家では水を使わないため、封水の補給が止まります。補給がなければ、たまっている水は主に蒸発によって減っていくと考えられます。 水面が下がって封水が切れると、排水管と室内が直接つながり、下水の臭いと虫の通り道になります。 減る速さは、季節、室温、湿度、換気の状態、排水口の形で変わると考えられ、同じ家でも排水口ごとに違いが出ます。 排水トラップの基準と、1年の間に水まわりで起きる変化は空き家を1年放置すると、家の中で何が起きるかにまとめています。
通水の間隔に関する条文と国の資料
空家法第5条
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
空家法第5条は、所有者又は管理者に、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めることを求めています。 条文に、管理の回数や作業の内容の定めはありません。
国土交通省住宅局の改正法の概要[2]は、国が告示する「空家の管理指針」の内容の例として、定期的な換気、通水、庭木伐採を挙げています。 通水は、管理の作業の例として国の資料に名前が出ている作業です。 この概要の記載は「定期的な」までで、日数は書かれていません。管理指針の本文は、国土交通省の公表資料で確かめられます。
出典:国土交通省住宅局「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」概要[2](令和5年6月14日公布・令和5年12月13日施行)
通水と管理の頻度の実態
管理の作業の中の通水
| 管理の内容 | 割合 |
|---|---|
| 外回りの清掃、草取り、剪定など | 79.5% |
| 戸締まりの確認 | 74.9% |
| 住宅の通風・換気 | 66.9% |
| 傷み、雨漏りなどのチェック・修繕 | 48.3% |
| 水回りなどの点検・通水 | 43.3% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-65(管理者がいる空き家、複数回答。一部の項目を抜粋)
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」は、令和5年住宅・土地統計調査で現住居以外に空き家を所有していると回答した世帯から抽出した世帯を対象にした調査です。 管理者がいる空き家でも、「水回りなどの点検・通水」をしている世帯は43.3%で、半数に届いていません(図表4-65、複数回答)。 通風・換気の66.9%と比べて、23.6ポイント低い割合です。 窓を開ける作業に比べて、水まわりは訪問の作業から抜けやすいと考えられます。
管理の頻度
| 管理の頻度 | 総数 | 徒歩圏内 | 車・電車などで1時間以内 | 車・電車などで1時間超~3時間以内 | 車・電車などで3時間超 |
|---|---|---|---|---|---|
| ほぼ毎日 | 17.7% | 31.6% | 12.7% | 3.8% | 6.1% |
| 週に1~数回 | 19.1% | 22.1% | 22.1% | 10.1% | 7.8% |
| 月に1~数回 | 34.0% | 27.7% | 38.4% | 40.3% | 28.7% |
| 年に1~数回 | 27.6% | 17.4% | 25.1% | 44.7% | 53.9% |
| 数年に1回 | 1.6% | 1.2% | 1.6% | 1.3% | 3.5% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-67・図表4-73(管理者がいる空き家。列は所有世帯の居住地からの所要時間)
管理の頻度は、月に1~数回が34.0%で最も多く、月に1回以上を合わせると約7割でした(図表4-67)。 居住地からの所要時間が長いほど頻度は下がり、車・電車などで3時間超の空き家では、年に1~数回が53.9%を占めます(図表4-73)。 この調査が聞いているのは管理全体の頻度で、通水だけの頻度は集計されていません。 通水をしている世帯が43.3%であることを合わせると、管理の訪問があっても水が流れていない空き家が一定数あると考えられます。
通水の間隔の決め方
訪問のたびに見ること
封水が切れるまでの日数は家と季節で変わるため、自分の家の間隔は、訪問の記録から決めます。手順は次の4つです。
- 窓を開ける前に臭いを確かめる。換気をすると臭いが分からなくなるため、玄関を開けた直後に、台所・洗面・浴室の排水口の近くで下水の臭いがないかを確かめます。
- 水位を見る。トイレは便器にたまっている水の高さを目で見ることができます。ほかの排水口は懐中電灯で照らし、排水口のふたの下に虫の死骸がないかも合わせて見ます。
- 各排水口に水を流す。台所・洗面・浴室の蛇口から水を流し、トイレの水を流します。水道を止めている家では、持参した水を各排水口に注ぎます。
- 点検表に記入する。前回の訪問からの日数、季節、排水口ごとの臭いと水位を書き留めます。
着いたときに臭いがあった排水口があれば、前回からの日数は、その時期のその家には長かったと考えられます。次の訪問を早めるか、蒸発を抑える手当てを足します。 臭いがなく水位も保たれていれば、その間隔を続けられると考えられます。季節が変わると減り方も変わると考えられるため、夏と冬の記録を分けて見ます。 1回の訪問全体の手順は空き家を自分で管理する。1回の訪問でやることの手順にまとめています。
訪問の間隔ごとの組み方
| 訪問の間隔 | 通水の組み方 |
|---|---|
| 週に1~数回 | 訪問のたびに流す。水位の記録は季節の変わり目に見る |
| 月に1~数回 | 毎回流し、着いたときの臭いと水位を記録する。夏の記録を見て、間隔を詰めるかどうかを決める |
| 年に1~数回 | 着いた時点で封水が切れている前提で、最初に各排水口へ水を流す。帰る前に、排水口にラップをかけて蒸発を抑える方法がある |
調査で最も多い管理の頻度は月に1~数回ですが、この数字は多くの世帯がその頻度で管理していることを示すもので、月に1回で封水が保たれることを示すものではありません。 年に1~数回の訪問では、次に来るまでに封水が切れることを見込んでおく組み方になると考えられます。 訪問の回数と傷みの関係は空き家の管理は月に何回必要か。国の調査でわかる頻度と傷みの関係にまとめています。
水道を止めると蛇口から流せなくなるため、止めるかどうかは訪問の間隔と合わせて決めます。 寒い地域では、給湯器と配管の水抜きが要る場合があるため、機器の取扱説明書に従います。 遠方で通うことが難しい場合に選べる手段は遠方で空き家の管理ができない。選べる手段の一覧にまとめています。
調査結果のまとめ
- 封水は排水トラップにたまった水で、空き家では補給が止まり、主に蒸発で減っていくと考えられます。切れると下水の臭いと虫の通り道になります
- 空家法第5条は空家等の適切な管理に努めることを求めていますが、回数や作業の内容の定めはありません
- 国土交通省住宅局の概要[2]は、管理指針の内容の例として定期的な換気、通水、庭木伐採を挙げています
- 管理者がいる空き家で「水回りなどの点検・通水」をしている世帯は43.3%で、通風・換気の66.9%を下回ります(図表4-65)
- 管理の頻度は月に1~数回が34.0%で最も多く、車・電車などで3時間超の空き家では年に1~数回が53.9%です(図表4-67・4-73)
空き家の通水の間隔は、一律の日数ではなく、訪問のたびに水を流し、着いたときの臭いと水位の記録から家ごとに決めるのが要点です。 管理の訪問があっても水回りが作業から抜けている場合は、まず毎回の手順に通水を入れることが、封水を保つ出発点になります。
誰も住まないご実家を、毎月みまもります
貸すか、売るか、持ち続けるか。決めるまでの間も空き家は傷みます。
担当が月1回訪問して状況を確認し、写真つきの報告書でお送りします。月2,750円(税込)から、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で承っています。
お申し込みはネットで完結します。所要3分ほどです。
根拠にした資料
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-65・4-67・4-73
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
国土交通省住宅局「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」概要[2]
調査の割合は不詳を除いて集計された値で、管理の内容と頻度は管理者がいる空き家について集計されています。条文は e-Gov 法令検索で確認した現行法です。