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管理・傷み

空き家のカビ。
発生する条件と、生えたあとの対処

カビは、湿気・温度・栄養・時間の条件がそろった場所に生えると考えられます。空き家でこのうち変えられるのは湿気と、湿った状態が続く時間です。生えたあとの対処は、乾かす、拭き取る、湿気の原因を絶つの順で、原因を残したまま拭き取るだけでは同じ場所に戻ります。国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)によると、管理者がいる空き家のうち「住宅の通風・換気」をしている世帯は66.9%、「住宅内の清掃」は55.4%でした。所有世帯の心配事は「住宅の腐朽・破損の進行」が75.7%で最も多い回答です。カビが生える条件、生えやすい場所、条文と国の資料、調査の数字、自分で対処できる範囲と専門業者に頼む範囲を整理しました。

カビが発生する条件

そろうと生える条件

カビは菌類の一種で、空気中に漂う胞子が物の表面に付き、条件がそろうと育つと考えられます。 育つための条件は、水分、温度、栄養、酸素と、それらが続く時間です。 このうち酸素と温度は家の中では止められず、栄養は壁紙の糊、畳、木材、ほこり、皮脂汚れなど、住宅のあらゆる場所にあります。 所有者が手を打てるのは、水分と、湿った状態が続く時間の2つと考えられます。 木材を腐らせる菌も、水分・温度・養分・空気を条件として育ちます。 腐朽の条件は空き家を1年放置すると、家の中で何が起きるかにまとめています。

空き家で条件がそろう理由

人が住んでいる家では、窓の開け閉め、換気扇、暖房、掃除によって、湿気とほこりが減ります。 空き家ではこれらが止まるため、室内の湿気が逃げにくくなり、ほこりが積もり、同じ状態が長く続きます。 つまり、空き家は「水分が残りやすく、栄養が増え、時間が長い」という、カビの条件がそろいやすい場所と考えられます。 締め切った家で湿気がこもる仕組みと、湿気の入口は、 空き家を換気しないとどうなるかと 空き家の湿気対策。除湿剤で足りるのかにまとめています。

空き家でカビが生えやすい場所

場所湿気の理由見るときの手がかり
押し入れ・クローゼットの奥戸が閉じて空気が動かず、外壁側は冷えて結露しやすい奥の壁と床の黒い点、ふとんや衣類のにおい
北側の部屋の壁日が当たらず壁の温度が低い家具の裏、壁紙の浮きと変色
窓まわりガラスと枠が冷えて結露するパッキン、カーテンの裾、窓台
畳床下の湿気を吸い、裏側が乾かない畳の縁、めくった裏面
浴室・洗面所・台所最後に使った水分が残り、排水口から湿気が上がる目地、排水口のまわり、流し台の下
天井雨漏りで濡れているしみの輪、広がる変色

場所ごとに湿気の理由が違うため、対処も変わります。 押し入れや北側の壁は換気と配置で、窓まわりは結露の拭き取りで、畳は床下の湿気で、天井は雨漏りの修繕で決まると考えられます。 天井のしみの上にカビが出ている場合は、室内の湿気ではなく上から水が入っている合図で、拭き取りでは解決しません。

管理に関する条文と国の資料

空家法第5条

空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条

空家法第5条は、所有者又は管理者に、空家等の適切な管理に努めることを求めています。 条文に、カビや室内の清掃についての定めはありません。 室内のカビは、条文が対象にしている「周辺の生活環境」への影響というより、建物そのものの傷みと、将来住む・貸す・売るときの価値の問題と考えられます。

国土交通省住宅局の改正法の概要[2]は、国が告示する「空家の管理指針」の内容の例として、定期的な換気、通水、庭木伐採を挙げています。 カビへの対処として国の資料が示しているのは、生えてから取ることではなく、換気によって湿気を抜くことと読み取れます。

出典:国土交通省住宅局「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」概要[2](令和5年6月14日公布・令和5年12月13日施行)

調査に見る清掃・換気の実態

管理の内容に占める換気と清掃

管理の内容行っている世帯の割合
住宅の通風・換気66.9%
住宅内の清掃55.4%
傷み、雨漏りなどのチェック・修繕48.3%
水回りなどの点検・通水43.3%

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-65(管理者がいる空き家、複数回答)

国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」は、令和5年住宅・土地統計調査で現住居以外に空き家を所有していると回答した世帯から抽出した世帯を対象にした調査です。 管理者がいる空き家のうち「住宅の通風・換気」をしている世帯は66.9%、「住宅内の清掃」は55.4%でした(図表4-65)。 カビの栄養になるほこりを減らす清掃は、換気より1割ほど低い割合です。 所有世帯の心配事では「住宅の腐朽・破損の進行」が75.7%で最も多い回答でした(図表4-61)。

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-61(複数回答)

腐朽・破損の状態

腐朽・破損の状態総数使用目的のない空き家
構造上の不具合が生じていた19.6%26.1%
外観または室内に全体的に腐朽・破損があった3.0%3.6%
外観または室内に部分的に腐朽・破損があった43.2%44.3%
構造上の不具合や腐朽・破損はなかった34.1%25.9%

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-53・図表4-54

空き家全体では「住宅の外観または室内に部分的に腐朽・破損があった」が43.2%で最も多く、「構造上の不具合が生じていた」が19.6%でした(図表4-53)。 使用目的のない空き家では「構造上の不具合が生じていた」が26.1%と、他の種類より高くなっています(図表4-54)。 管理の頻度別では、「構造上の不具合が生じていた」割合は月に1~数回で17.5%、年に1~数回で24.3%でした(図表4-58)。 この調査にカビの有無を聞いた項目はなく、上の数字はカビの発生率ではありません。 カビが見つかる段階は、腐朽・破損に至る前の、湿気がたまり始めた合図と考えられます。

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-58

生えたあとの対処

自分で対処できる範囲

  1. 窓を開け、マスクと手袋を着ける。胞子を吸い込まず、手に付けないための準備です。乾いた状態で強くこすると胞子が舞うため、拭き取りは湿らせた布で行います。
  2. 写真を撮る。場所と広がりを記録しておくと、次の訪問で広がったかどうかを比べられます。
  3. 表面のカビを拭き取る。壁紙、窓枠、家具の表面など、拭ける場所は布で拭き取ります。洗剤や薬剤を使うときは製品の表示に従い、種類の違う洗剤を混ぜません。
  4. 乾かす。拭いた場所を乾いた布で押さえ、風を通して乾かします。濡れたままにすると、同じ場所に戻ります。
  5. 湿気の原因を見る。結露なら家具を壁から離して戸を開けておく、流し台の下なら配管の濡れを見る、天井なら雨漏りの有無を見ます。
  6. 栄養を減らす。ほこりを払い、ふとんや衣類、紙類、段ボールを閉じた収納から出すか、持ち帰ります。

専門業者に頼む範囲

状態自分での対処頼む先
壁紙の裏や石こうボードまで変色している表面を拭いても裏に残る内装業者(壁紙と下地の張り替え)
天井にしみがあり、上から濡れている雨漏りが続く限り再発する屋根・外壁の施工業者
畳の裏や床下が湿っている室内の換気では床下に届かない床下の点検ができる施工業者
部屋の広い範囲や天井裏に広がっている範囲が広く、作業中に胞子が舞うカビの除去を扱う清掃業者
配管から水が漏れている水を止めないと乾かない水道工事の業者

自分で対処できるのは、拭き取れる表面に出たカビで、湿気の原因が訪問時の手当てで消せる場合です。 下地まで入ったカビ、雨漏りや水漏れが原因のカビは、表面を拭いても原因が残るため、工事を伴う対処になります。 どちらにあたるかは、拭き取ったあとに乾かし、次の訪問で同じ場所に戻っているかで判断できると考えられます。 1回の訪問全体の手順は空き家を自分で管理する。1回の訪問でやることの手順にまとめています。

調査結果のまとめ

カビは、湿気がたまり始めたことを目に見える形で知らせる合図と考えられます。 拭き取りで終わらせず、どこから湿気が来ているかを確かめて止めることが、同じ場所に戻さないための要点です。

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担当が月1回訪問して状況を確認し、写真つきの報告書でお送りします。月2,750円(税込)から、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で承っています。

お申し込みはネットで完結します。所要3分ほどです。

根拠にした資料
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-53・4-54・4-58・4-61・4-65
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
国土交通省住宅局「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」概要[2]
調査の割合は不詳を除いて集計された値で、管理の内容は管理者がいる空き家について集計されています。条文は e-Gov 法令検索で確認した現行法です。