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税金・制度

固定資産税が6倍になるのはいつからか。
賦課期日の考え方

分かれ目は1月1日です。地方税法第359条は、固定資産税の賦課期日を当該年度の初日の属する年の1月1日と定めています。2026年12月に勧告を受ければ2027年度の分から住宅用地の特例が外れ、2027年1月2日以降の勧告なら2028年度からです。きっかけは勧告で、勧告に付けられた猶予期限の経過を待ちません。「6倍」は200平方メートル以下の部分にかかる6分の1の特例が外れることを率の比で言ったもので、払う額が6倍になるとは限りません。勧告の日と年度の関係を、条文にあたって整理しました。

何が6倍になるのか

住宅用地の特例が外れる

地方税法第349条の3の2第1項は、家屋の敷地である住宅用地の課税標準を価格の3分の1とし、 同条第2項は200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)を価格の6分の1としています。 同条第1項の括弧書きは、次の2つの敷地を住宅用地から除いています。

出典:地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2第1項・第2項

勧告を受けると、この6分の1と3分の1の特例が外れます。 「6倍」は、6分の1の特例が外れることを率の比で言ったものです。 3分の1の部分なら3倍で、家屋の分の固定資産税は別にかかり続けます。

払う額との違い

特例が外れたあとの土地の課税標準額は市区町村が算定するもので、 条文の率を単純に当てはめた額どおりにならないことがあります。 家屋の分を足した合計で見ると、倍率はさらに小さくなります。 見込みの額は、物件のある市区町村の資産税の担当窓口で確かめられます。 取り壊した場合との比べ方は更地にすると固定資産税はいくら上がるのか。取り壊す前に確かめる数字にまとめています。

分かれ目になる時点

賦課期日は1月1日

地方税法第359条

固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

出典:地方税法第359条

2027年度の賦課期日は2027年1月1日です。 固定資産税は、この1月1日の状態でその年度の分が決まる仕組みです。 都市計画税の賦課期日も同じく1月1日です(地方税法第702条の6)。

出典:地方税法第702条の6

きっかけは勧告

住宅用地から除かれるのは、「勧告がされた」空家等の敷地です。 命令や代執行まで進んだものに限られていません。

空家法第22条第2項

市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。

出典:空家法第22条第2項

特定空家等への勧告には相当の猶予期限が付きます。 ただし地方税法第349条の3の2第1項が見ているのは勧告がされたかどうかで、猶予期限が過ぎたかどうかではありません。 猶予期限の途中でも、1月1日を迎えれば、その年度から特例は外れます。

管理不全空家等は、空家法第13条第1項の指導のあと、なお状態が改善されず、 そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときに、同条第2項により勧告をすることができるとされています。 指導の段階では、勧告による除外は起きません。 なお、住宅用地に当たるのは「専ら人の居住の用に供する家屋」などの敷地です。 傷みが進んだ家屋がこれに当たるかどうかの扱いは、物件のある市区町村の資産税の担当窓口で確かめられます。

出典:空家法第13条第1項・第2項、地方税法第349条の3の2第1項

勧告の日と年度の関係

最初に影響する年度

勧告の日と、最初に影響する年度を並べると次のとおりです。

勧告の日その次の1月1日特例が外れる年度
2026年6月2027年1月1日2027年度から
2026年12月2027年1月1日2027年度から
2027年1月2028年1月1日2028年度から

出典:地方税法第359条・第349条の3の2第1項から当社が整理したものです。

12月の勧告と翌年1月の勧告では、影響する年度が1年ずれます。 6月の勧告でも、その年度(2026年度)の分は変わりません。

納める時期

年度の税額は、分けて納めます。

地方税法第362条第1項

固定資産税の納期は、四月、七月、十二月及び二月中において、当該市町村の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。

出典:地方税法第362条第1項

納税通知書と課税明細書は、遅くとも納期限前10日までに交付しなければならないとされています(地方税法第364条第9項)。 2026年12月に勧告を受けた場合、上がった額が最初に届くのは、2027年度の最初の納期に向けた納税通知書です。 勧告から通知書までの間が数か月空くため、勧告と税額を結びつけにくいと考えられます。

出典:地方税法第364条第9項

元に戻す場合

条文にある定め

空家法の条文には、勧告の撤回についての定めは置かれていません。 勧告に係る措置をとったあと、どの時点から住宅用地の特例に戻るかについても、条文に定めは置かれていません。 空家法第22条第16項は、特定空家等に対する措置について、国土交通大臣および総務大臣が必要な指針を定めることができるとしています。

出典:空家法第22条第16項

確かめる先は2つです。

  1. 勧告をした市区町村の空き家対策の担当窓口。どの措置をとれば勧告の対象でなくなるか、その扱いをいつ行うかを確かめられます
  2. 物件のある市区町村の資産税の担当窓口。住宅用地の特例がどの年度から適用されるかを確かめられます

1月1日から逆算する

固定資産税は1月1日の状態で年度の分が決まる仕組みのため、 措置を終える時期が1月1日の前か後かで、戻る年度も1年ずれると考えられます。 修繕や立木竹の伐採は日数がかかるため、勧告を受けた時点で、次の1月1日から逆算して段取りを組むことになります。 勧告の前の段階の家の手入れについては 空き家を1年放置すると、家の中で何が起きるかにまとめています。

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査結果」では、 管理不全空家等の敷地に係る固定資産税等の軽減対象からの除外措置を知らない世帯が55.1%、 特定空家等の敷地に係る除外措置を知らない世帯が53.7%でした。 除外措置を「知っている」世帯では、「現在空き家ではない」との回答の割合がそれぞれ約25%と約26%で、他の認知状況と比べて高くなっていました。

出典:国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-106・図表4-107・図表4-133

調査結果のまとめ

6分の1の特例が外れるのは、勧告を受けた後に迎える1月1日を賦課期日とする年度からです。 勧告の通知を受け取った日付と、次の1月1日までの日数を先に確かめることになります。

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根拠にした資料
地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2・第359条・第362条・第364条・第702条の6
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第13条・第22条
国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)図表4-106・図表4-107・図表4-133
条文は2026年9月25日に e-Gov 法令検索で確認しました。特例が外れたあとの課税標準額は市区町村が算定します。