年に数回だけ
空き家を見てもらう方法
空き家を
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)によると、管理者がいる空き家のうち管理の頻度が「年に1~数回」の世帯は27.6%でした。居住地から車・電車などで3時間超の空き家では、年に1~数回が53.9%で最も多い頻度です。年に数回だけ見てもらう方法は、自分や親族が通う、近所の人に頼む、業者にその都度頼むの3つで、人に頼んで引き受けてもらう場合は民法上の準委任にあたりうると考えられます(民法第656条)。一方で、年に1~数回の世帯では構造上の不具合が生じていた空き家が24.3%で、月に1~数回の17.5%より高い値でした。回数を減らす場合は、1回の訪問で見る項目を決め、台風や大雪のあとに1回を充てるのが、少ない回数を生かす組み方です。調査と条文で整理しました。
年に1~数回の管理をしている空き家の割合
管理の頻度の全体
| 管理の頻度 | 割合 |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 17.7% |
| 週に1~数回 | 19.1% |
| 月に1~数回 | 34.0% |
| 年に1~数回 | 27.6% |
| 数年に1回 | 1.6% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-67(管理者がいる空き家)
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」は、令和5年住宅・土地統計調査で現住居以外に空き家を所有していると回答した世帯から抽出した世帯を対象にした調査です。 管理者がいる空き家の管理の頻度は、月に1~数回が34.0%で最も多く、年に1~数回は27.6%でした。 管理者がいる空き家のおよそ4軒に1軒強は、年に数回の管理です。
居住地からの所要時間との関係
| 所有世帯の居住地からの所要時間 | 年に1~数回の割合 |
|---|---|
| 徒歩圏内 | 17.4% |
| 車・電車などで1時間以内 | 25.1% |
| 車・電車などで1時間超~3時間以内 | 44.7% |
| 車・電車などで3時間超 | 53.9% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-73
管理の頻度が年に1~数回の割合は、所要時間が徒歩圏内の空き家で17.4%、車・電車などで3時間超の空き家で53.9%でした(図表4-73)。 遠方の所有者にとって、年に数回の管理は例外ではなく、多数派の頻度です。 管理をする上での課題では「遠方に住んでいるので往訪が困難」が21.6%、「管理費用の負担が大きい」が22.5%でした(図表4-79、複数回答)。 回数を減らしたい理由は、移動の負担と費用の両方にあると考えられます。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-73・4-79
年に1~数回の管理と傷みの関係
| 管理の頻度 | 構造上の不具合が生じていた |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 15.3% |
| 週に1~数回 | 16.3% |
| 月に1~数回 | 17.5% |
| 年に1~数回 | 24.3% |
| 数年に1回 | 33.3% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-58
管理の頻度別では、構造上の不具合が生じていた空き家の割合は、月に1回以上の世帯で15.3~17.5%、年に1~数回で24.3%、数年に1回で33.3%でした(図表4-58)。 ただし、この表は頻度が低いから傷んだという因果を示すものではありません。 所要時間別では、構造上の不具合が生じていた空き家の割合は徒歩圏内で約24%、車・電車などで3時間超で約9%と、遠いほど低い傾向でした(図表4-59)。 傷みの程度には建築時期や空き家になってからの期間なども関わるため、頻度だけで傷みが決まるわけではないと考えられます。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-58・4-59
空家法第5条は、空き家の所有者又は管理者に、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めることを求めています。 条文に管理の回数の定めはありません。 回数を減らす場合は、少ない回数で傷みの兆しを拾えるよう、見る項目と時期を決めておくことが要点になります。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
年に数回を誰に頼むか
主な管理者の割合
| 主な管理者 | 割合 |
|---|---|
| 所有者または所有者と同居している親族 | 76.8% |
| 所有者と同居していない親族 | 13.5% |
| 不動産業者、建築会社、管理専門業者など | 3.8% |
| 自治会・近所の人 | 0.9% |
| その他の人 | 1.3% |
| 誰も管理していない | 3.8% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-63(総数)
主な管理者は、所有者または同居している親族が76.8%、同居していない親族が13.5%で、業者は3.8%、自治会・近所の人は0.9%でした(図表4-63)。 年に数回の管理でも、担い手の中心は所有者と親族です。
| 頼む先 | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 自分で通う | 帰省や墓参りなど、年に数回は近くに行く用事がある | 用事に合わせると、台風や大雪のあとの時期に行けないことがある |
| 親族に頼む | 空き家の近くに住む親族がいる | 見る項目と連絡の方法を先に決める。費用の分け方も決めておく |
| 近所の人に頼む | 外回りの目視と異変の連絡だけで足りる | 家の中には入らない範囲に絞る。いつでも断れることを伝えておく |
| 業者にその都度頼む | 家の中の換気・通水や、写真つきの報告が欲しい | 料金は作業の範囲と回数で決まる。見積もりで作業の範囲を確かめる |
人に頼むときの法律上の形
民法第656条
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
民法第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
出典:民法(明治29年法律第89号)第644条・第656条
空き家の見回りは「法律行為でない事務」にあたり、頼んで引き受けてもらう約束が成り立てば、民法第656条により委任の規定が準用されると考えられます(準委任)。 準委任にあたる場合、引き受けた人は、民法第644条により、善良な管理者の注意をもって見回る義務を負います。 報酬は、民法第648条第1項により、特約がなければ請求できない定めです。 親族や近所の人に頼む場合も、お礼の有無と額は最初に決めておくと、あとで受け止め方がずれることを防げます。 業者に頼む場合は、契約書や申込書に書かれた作業の範囲と報告の方法を確かめます。
出典:民法第644条・第648条第1項・第656条
近所の人に頼む場合の頼み方は近所の人に空き家を見てもらうときの頼み方と限界に、頼む先ごとの比較は遠方で空き家の管理ができない。選べる手段の一覧にまとめています。
1回の訪問で見る項目
| 管理の内容 | 割合 |
|---|---|
| 外回りの清掃、草取り、剪定など | 79.5% |
| 戸締まりの確認 | 74.9% |
| 住宅の通風・換気 | 66.9% |
| 郵便物、チラシなどの整理・処分 | 57.0% |
| 住宅内の清掃 | 55.4% |
| 台風、地震などの後の見回り | 49.3% |
| 傷み、雨漏りなどのチェック・修繕 | 48.3% |
| 水回りなどの点検・通水 | 43.3% |
| 除排雪 | 16.6% |
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-65(管理者がいる空き家、複数回答)
管理者がしている作業は、外回りの清掃・草取り・剪定が79.5%、戸締まりの確認が74.9%、住宅の通風・換気が66.9%でした(図表4-65、複数回答)。 年に数回の訪問では、この上位3つに、傷み・雨漏りのチェック(48.3%)と水回りの点検・通水(43.3%)を加えて、毎回同じ順で見ておくと、前回との違いに気づきやすくなると考えられます。
台風・地震などの後の見回りをしている世帯は49.3%でした(図表4-65)。 年に数回のうち1回を、台風の季節のあとや雪の多い地域では雪解けのあとに充てると、少ない回数でも傷みの兆しを拾いやすくなります。 台風の前に所有者がしておくことは台風の前に、空き家でやっておくことにまとめています。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-65
年間の維持管理に要する費用は、5万円未満の空き家が合わせて約5割で、そのうち「費用はかかっていない」は12.1%でした(図表4-74)。 業者にその都度頼む場合の料金は、作業の範囲・回数・建物の大きさで業者ごとに決まるため、見積もりで比べてください。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-74
調査結果のまとめ
- 管理者がいる空き家の管理の頻度は、月に1~数回が34.0%、年に1~数回が27.6%でした(図表4-67)
- 年に1~数回の割合は、徒歩圏内の空き家で17.4%、車・電車などで3時間超の空き家で53.9%です(図表4-73)
- 構造上の不具合が生じていた空き家は、月に1~数回の世帯で17.5%、年に1~数回の世帯で24.3%でした。頻度だけで傷みが決まるわけではないと考えられます(図表4-58・4-59)
- 主な管理者は所有者または同居親族が76.8%、同居していない親族が13.5%、業者が3.8%、近所の人が0.9%です(図表4-63)
- 人に見回りを頼んで引き受けてもらうと準委任にあたりうると考えられ(民法第656条)、引き受けた人は善良な管理者の注意義務を負います(民法第644条)
- 台風・地震などの後の見回りをしている世帯は49.3%でした(図表4-65)
年に数回だけ空き家を見てもらう場合は、自分・親族・近所の人・業者のうち誰が行くかを決め、1回の訪問で見る項目をそろえ、台風や大雪のあとに1回を充てるのが組み方の要点です。 遠方の所有者では年に1~数回が多数派の頻度ですが、年に1~数回の世帯では構造上の不具合が生じていた空き家の割合が月に1~数回より高いため、回数を減らすほど1回あたりで見る項目が重くなります。
誰も住まないご実家を、毎月みまもります
貸すか、売るか、持ち続けるか。決めるまでの間も空き家は傷みます。
担当が月1回訪問して状況を確認し、写真つきの報告書でお送りします。月2,750円(税込)から、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で承っています。
お申し込みはネットで完結します。所要3分ほどです。
根拠にした資料
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)第1章、図表4-58・4-59・4-63・4-65・4-67・4-73・4-74・4-79
民法(明治29年法律第89号)第644条・第648条第1項・第656条
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第5条
調査の割合は不詳を除いて集計された値で、主な管理者と腐朽・破損の状態は空き家の戸数、管理の内容と頻度は管理者がいる空き家、課題は空き家を所有する世帯について集計されています。条文は e-Gov 法令検索で確認した現行法です。